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国土交通省が04年に発表した「無電柱化推進計画」では、非幹線道路にかんしても、歩行空間のバリアフリー化・防災対策・歴史的な街並み保全などの観点から電線地中化が要請されている。
何よりも費用削減が求められるが、そのためにバリァフリー化や街路事業などと同時に電線類地中化を施行するという。 さらにこれまでのように歩道だけで幅2.5メートルを要し、深く掘削しなければならない必要のある電線共同溝に代えて、浅くコンパクトに埋める方式を標準とし、それによって従来のキロメートル当たり電線・変圧器等および管路部で6.8億円の費用を、5.6億円に引き下げた。
また全額負担と定められていた制度を改めて、地方公共団体は管路部のみの1.65億円/キロメートルを負担すればよいとした。 地方公共団体の財政を考慮したうえで、電線類地中化を推進するための施策である。
05年度の概算要求では、軒下配線や裏配線といった多様な配線手法を導入し、トランスについても柱状にして照明柱と一体化させたものも設置を促進するとしている。 ただし、それでもなお費用負担は重い。
財政再建が政策の主目標となり、公共事業といえばおよそ景観保全を意識するものではないから、期待はできそうにない。 ヨーロッパなどでは電線埋設は一般に事業者の負担で行われており、公的な負担は小さい。

現在、一般家計の電気料金は平均6800円だが、8000万強の加入者が月に10円余分に支払うなら、年に96億円の余裕が生まれる。 それを電線埋設に振り向けるなら、60キロメートルの延長が可能になる。
その程度の負担ならば可能と考える国民も多いのではないだろうか。 構造改革の3領域の2つめが資本市場の改革である。
そこでは、さしあたり2つのことが前提されている。 ひとつには、従来のシステムでは日本経済はリスクに挑むようなものになっていなかったという問題。
グローバリゼーションが進むなか、ハイリスクに挑んで新製品を開発し市場をつかみ取る競争が激化しているのに、従来の日本型経済システムではそうした競争には立ち向かえず、停滞するに違いない、とされている。 2つめは、Dに代表されるように、銀行が利潤追求ではなくシェア拡大型の放漫な企業経営を放置してしまい、貸出先企業の経営上の失敗を問わなかったという問題。
その結果、Dは「大きすぎて潰せない」ほどにまで肥大化してしまった。 銀行ではなく株主に経営者の責任追及を任せねばならない。
そのためには株式の相互持ち合いを解消して資本市場を流動化させよ、というわけである。 なるほどDの溜め込んだ巨大な不良債権は大きな足かせとなったし、誰もが長きにわたり中内功の経営責任を追及できなかった。
いわゆるガバナンスがきかない状態が放置ざ以上の二つから、家計から企業への資金供給のチャンネルを、銀行による間接金融から株式や債券などによる直接金融に置き換えるという必要性が唱えられた。 それを推進するのが不良債権処理であり、監督するのが金融庁というわけだ。
処理が進み製品市場と資本市場で競争が貫徹するようになれば、企業はリスクに挑み、グローバル市場でも勝ち抜いていける、という見通しである。 経営が放漫に走らぬよう資本市場が規律づけるだろう。

それは株主の代理人たる取締役会の監視によって実行され、従業員の働き甲斐は金銭報酬によって動機づけられる。 そうした考え方に由来するカンパニー制や成果主義などを導入することが、日本企業を改革するだろう、と。
不良債権の処理は、K政権下で現実に進んだ。 そして直接金融化は、二つの方向で推進されている。
オーバーバンキングの解消と、株式市場の流動化である。 けれどもこれらを推進した金融庁の活動と、景気回復との間には、直接の因果関係は見出せない。
経済財政・金融相として構造改革を担ったTは、2004年に参院選比例区でJ党候補としては最多となる得票数で初当選した。 景気回復という追い風の吹くなかでの選挙戦だった。
竹中は、当選にかんする所感を、「構造改革をしっかりやれというメッセージだと思う」と述べていけれどもTの唱える反デフレ政策はというと、インフレ期待を上昇させるよう金融緩和を続けることには理解を示すものの、それはあくまで構造改革論の補助に過ぎない。 「不良債権処理が進めば金融政策が浸透し、デフレから脱却できる」といったことを述べているからだ。
Tにとって、まずもって優先されるのは不良債権の処理であり、それによって金融システムが信頼を取り戻せば自然に需要が増えるという考えであるらしい。 構造改革のなかでTが力を注いだのは資本市場改革で、護送船団方式を「金融再生プログラム」に置き換え、不良債権処理を進める、その過程で銀行という間接金融は「オーバーバンキング」であるから数を減らして、株式や証券を通じた直接金融に道を譲るべきだとしてきた。
そこでT率いる金融庁は、大手銀行に保有する不良債権を2004年度末までに半減させるよう求めている。 Tは、しばしば優柔不断だと言われる。
現在も、反デフレ政策と構造改革という、ここ数年でもっとも鮮明な対立の構図に置かれてきた2つの政策の双方を唱えている。 その意味では、有力な政策提言の双方に目配せしているかに見える。

ちなみに反デフレ政策は、提唱者の中心と目されるIらの著書のタイトル(「N」)に見られるように、「痛み」に耐えることを強要する構造改革政策を批判するのであり、構造改革が企業の供給力を強化しようとするのとは対照的に、需要の拡張を図るとしてきた。 実際、それはほぼ実現したと言ってよい。
「金融再生プログラム」は銀行に対する金融庁の監督方針で、大臣がY伯夫からTに交替したのを機に作成され、02年10月末に公表された。 主要行の資産審査を厳格化し、自己資本を充実させ、ガバナンスの強化を図るという行政の方針である。
金融庁内に「金融問題タスクフォース」を新設し、04年度には不良債権問題を終結させるという目標の達成に向けて各行の状況をモニタリングする一方、公的資金投入も利用するという。 また主要行の不良債権処理によって、中小企業に対し不当な「貸し剥がし」などが発生しないよう検査などで配慮するとしている。
不良債権の処理を従来のように馴れ合いではなく厳格に行わせるという内容で、要は大銀行の監督官庁が好々爺からオニに変身するという宣言であった。 発表されるや主要7銀行トップが異例の共同抗議声明を出し、金融界は大混乱に陥った。
大手銀行系シンクタンクが、この方針に沿って不良債権を処理すれば大企業がバタバタと倒れ100万人からが路頭に迷うとの予測を発表したほか、「大手行は軒並み国有化」などという噂も俳個し、デフレスパイラルを加速させるという批判も続出した。 それだけ聞けば大変な劇薬とも思えるが、不思議なことに他方では、「骨抜きK政治の象徴だ」などとも批判されていた。
ポイントは、大銀行と地方銀行を一律に扱うのか、区別するとすれば基準をどうするのか、公的資金投入をどんな理由で実施するのか、ということだ。

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